溶ける思考

休日は部屋でぼんやり過ごそう
何も考えないでのんびり ぐったり
気がついたら心地のよい風が
君を眠りの国から呼び戻すだろう


小気味良く並べられた単行本
床に散らかる雑誌の類
オーディオデッキの傍のCD-R
荷物で半分埋まったベッド


自分の部屋特有の落ちつく匂い
窓から流れてくる外の匂いと
交じり合うことで起こる化学反応を
ベッドで横になって素肌で感じる


欲望を満たすためのあらゆる要素が
自分の部屋には詰まっていないかい?
性欲 食欲 睡眠欲 食欲はないか・・・
ベッドの下に隠れた成年雑誌とか


とにかく快適に過ごせる環境の中で
一日中腐っているのもいいじゃない
忙しなく動き回る日々を忘れて
果てしなく無駄な時間をぼんやり過ごす


抑えきれない欲望を吐き出して
ゴミ箱の中に捨てたなら
今日はきっとよく眠れるだろう
そしてまた過酷な日々はやってくる


恋愛をすることなんてとんでもなく前のことで
今ここで自分が生活している現実は
とても緩やかに唐突に過ぎ去っていく


お昼前にCDショップで洋楽を物色して
冷房の効きすぎの電車で大学へ向かい
薄っぺら紙に過した日々の意味を書く


溶けるような空が僕を見下ろしていて
それは ぬるま湯に浸かっているようだから
ベッドに横になってバイトまでの時間を過ごすのです


何の根拠もない情報を手に客が来店する
既に発売している本だと言い張る客に平謝り
後に調べてみると明後日発売なんだってさ


呼吸をするみたいに煙草を咥えて
都会の喧騒の中で煙を吐き出す
人類なんて滅びればいいんだなんてね


命の重さを理論で説明しようとして
自分自身の人生の最期に
笑えるのかななんて苦笑する


自分の気持ちも知らないくせに
誰かに語ることなんてとても馬鹿げていて
それを考え続ける自分に嫌気が去す


せめてこの夏のうちに
色んなことに終止符が打てればなと
漠然とした思いを抱き今日も眠る